事業内容

助成金贈呈式

2024年9月11日、丸の内の東京會舘で、助成金受領者と来賓、選考委員、財団役員合わせて約240名が出席し、2024年度助成金贈呈式が開催されました。

2024年度の助成について

2024年度は、自然科学研究助成1,092件、人文科学研究助成290件、社会福祉事業・研究助成156件、文化財保存修復助成24件の応募があり、この中から、自然科学74件、人文科学33件、社会福祉42件、文化財保存修復14件の合計163件、6億4,987万円の助成が行われました。設立以来の助成の累計は、5,079件、216億円となっております。

贈呈式レポート

贈呈式では、三毛理事長の挨拶、各分野の選考委員長からの審査報告の後、分野ごとに助成を受けられる方お一人おひとりが紹介され、各分野代表の方々に理事長から贈呈書が授与されました。最後に、各分野の助成金受領者代表の方々が、謝辞とともに自らの研究・事業内容等を披露されて式は終了しました。

三毛理事長挨拶 助成金贈呈式の様子
三毛理事長挨拶 助成金贈呈式の様子
贈呈書授与 受領者代表挨拶
贈呈書授与 受領者代表挨拶

各分野の審査報告

自然科学
十倉選考委員長
[ 十倉選考委員長 ]
 本年度の自然科学部門の研究助成の総額は、昨年対比で5千5百万円の増額の4億2千万円として頂き、選考を行いました。内訳は、一般助成3億3千6百万円、若手助成8千4百万円です。
 本年度の応募総数は一般助成763件、若手助成329件、計1,092件、昨年と比べ若干(30件)の減少となりましたが、競争倍率は、一般は14.4倍、若手は15.7倍と引き続き高倍率となり、申請案件の内容としても高いクオリティを維持しております。
 選考にあたっては、応募された研究計画のユニークさや既成概念にとらわれない研究かどうか、研究者のこれまでの研究実績などから当該研究の実現性等も考慮にいれ、また、若手については若手らしいチャレンジングな研究か等の観点も含めて見るように心がけました。
 審査手続きにおいては、選考委員会は実開催とオンラインを組み合わせ、面接はオンラインを有効に活用し、活発な議論を行った上で、クオリティの高い助成先を選定いたしました。
 その結果、助成件数は、一般は昨年比2件増加の53件、若手は6件増加の21件、合計74件を選考委員会にて採択候補と致しました。若手については、ここ数年20倍を超える競争倍率でしたが、今回採択件数を増やすことで、依然として、高倍率であるものの、15.7倍まで引き下げることができております。
人文科学
岩波選考委員長
[ 岩波選考委員長 ]
 本年度の人文科学部門の研究助成の総額は、昨年対比で1千5百万円増額の8千5百万円として頂き、昨年度同様、一般助成の枠内で大型連携研究助成(大型助成)を実施しました。
 応募は、ここ数年増加傾向にあり、本年度は、大型13件、一般277件の計290件と昨年対比36件の増加となり、コロナ禍前の水準まで戻りました。海外の研究者との共同研究など在外研究に積極的に取り組む研究課題が増え、コロナ禍の影響も一段落したことを強く印象付けております。
 審査にあたっては、選考委員会、面接は実開催を原則とし、大型は面接を経て2件、一般は31件、昨年対比3件増加の計33件を採択候補としました。女性の比率は、個人助成32件のうち8件で25%(昨年実績 5件・16.7%)ですので、女性参画の一つの基準となるクオーターとなりました。女性比率はもちろん母数である各分野の女性研究者数と連動しますので、性差あるいは年齢を問わず研究者が継続的に息長く研究活動を続けていける環境整備が引き続き課題と考えております。
 選考にあたっては、今年度も深い人間理解に資する人文科学と、現代社会が直面する喫緊の課題解決を目指す社会科学の双方から、これまでの研究成果に裏打ちされた堅実且つ実現可能性の高い研究計画であるとともに、新しい切り口で課題に取り組む意欲的な研究課題をバランスよく採択できました。
社会福祉
鈴木選考委員長
[ 鈴木選考委員長 ]
 本年度の社会福祉部門の事業及び研究助成の総額は、昨年対比で1千万円増額の1億1千万円としていただき、選考を行いました。
 応募総数は、積極的な広報宣伝活動、オンラインでの応募説明会実施の効果もあり、156件と引き続き高水準となりました。
 申請内容につきましては、応募者の的確な問題意識の下、これまで必ずしも十分な取り組みがなされてこなかった様々な社会的課題に対する実践的な事業や、開拓的な研究など、採択に値する良質な案件が数多くありました。
 分野別に見ますと、応募は例年同様、地域・在宅支援、高齢者、児童・青少年、身体障害、精神障害が多く、中でも発達障害、災害復旧・防災、自殺予防の分野が昨年に比して増加しております。採択も同様の傾向となっております。
 また、審査にあたっては、選考委員会、面接ともにすべて実開催とし、予定どおりの審査を行いました。選考委員会で選定した54件の案件を6日間かけて個別に面接し、最終的に前年対比で9件増の42件を採択候補としました。
 内訳としては、一般案件が19件、連携・協働案件が23件であり、増加した9件のうち7件が連携・協働案件となっております。
文化財保存修復
小松選考委員長
[ 小松選考委員長 ]
 本年度の文化財保存修復助成事業の助成の総額は、昨年対比で5百万円増額の3千5百万円として頂き、選考を行いました。
 応募件数は昨年度と同水準の24件の実績です。分野別には、絵画、彫刻、工芸品から歴史資料、考古資料に至るまで幅広い分野での保存・修復案件の申請があり、都道府県別には、全国15の地域から応募がありました。
 審査にあたっては、各委員がそれぞれの専門性を活かして全案件を評価し、選考委員会にて高得点のものから、各文化財の保存・修復の意義、必要度等を慎重に審査した結果、応募24件中14件(競争率1.7倍)を採択候補と致しました。応募同様に絵画、彫刻、工芸品、書跡、歴史資料等と幅広く採択することができ、修復するに足る良質の採択先を選定できたものと考えております。
 応募件数はここ数年減少傾向にありましたが、全国すべての都道府県の教育委員会・公立博物館へのきめ細かな情報宣伝活動を行い、また、日本博物館協会や文化財関連の学会等を通じて本事業の趣旨を広く紹介するなど、積極的に活動した結果、今年度は、応募数が下げ止まり、応募総額は上昇に転じました。
 情報宣伝活動の成果には手ごたえを感じており、この動きを2025年度も継続することで、応募件数の増加等、選考母集団の良質化に努めてまいります。

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