事業内容

助成金贈呈式

2025年9月11日、丸の内の東京會舘で、助成金受領者と来賓、選考委員、財団役員合わせて約250名が出席し、2025年度助成金贈呈式が開催されました。

2025年度の助成について

2025年度は、自然科学研究助成1,291件、人文科学研究助成323件、社会福祉事業・研究助成222件、文化財保存修復事業助成63件の応募があり、この中から、自然科学84件、人文科学37件、社会福祉43件、文化財保存修復22件の合計186件、7億5,500万円の助成が行われました。設立以来の助成の累計は、約5,300件、224億円となっております。

贈呈式レポート

贈呈式では、三毛理事長の挨拶、各分野の選考委員長からの審査報告の後、分野ごとに助成を受けられる方お一人おひとりが紹介され、各分野代表の方々に理事長から贈呈書が授与されました。最後に、各分野の助成金受領者代表の方々が、謝辞とともに自らの研究・事業内容等を披露されて式は終了しました。

三毛理事長挨拶 助成金贈呈式の様子
三毛理事長挨拶 助成金贈呈式の様子
贈呈書授与 受領者代表挨拶
贈呈書授与 受領者代表挨拶

各分野の審査報告

自然科学
十倉選考委員長
[ 十倉選考委員長 ]
 本年度の自然科学部門の研究助成の総額は、選考の結果、一般助成、若手助成併せて昨年と比べて10件の増加の84件を採択候補と致しました。採択金額は4億9,200万円にて、昨年と比べ7,200万円の増額となります。応募件数が約200件増加し、1,291件となったことから、従来より競争倍率が高倍率となり厳しい競争環境であったことから、予算の追加手配を頂きました。
 本年度の応募総数1,291件の内訳は、一般助成は922件、若手助成は369件となり、一般助成は約2割の増加、若手助成は約1割の増加となりました。競争倍率は、一般助成は16.8倍、若手助成は12.7倍と引き続き高倍率となっており、申請案件の内容としては、高いクオリティを維持しております。
 選考にあたっては、応募された研究計画のユニークさや既成概念にとらわれない研究かどうか、研究者のこれまでの研究実績などから当該研究の実現性等も考慮にいれ、また、若手については若手らしいチャレンジングな研究か等の観点も含めて見るように心がけました。
 審査手続きにおいては、選考委員会は実開催とオンラインを組み合わせ、面接はオンラインを有効に活用し、効率性を意識しつつも、活発な議論を行った上で、クオリティの高い助成先を選定いたしました。
 なお、昨年までは、全採択候補者に対して10分間の面接を行って参りましたが、採択数の増加によりすべての採択候補者と面談することが難しい状況であること、高い競争倍率の中から選んだ採択候補先の研究はクオリティの高いものが多いことから、本年度の選考より、面接は選考委員会で「必要と判断した先」に対して実施しました。面接件数は、一般で14件、若手で9件と計23件です。
 この結果、採択候補件数は、一般助成は昨年比2件増加の55件、若手助成は8件増加の29件の計84件となりました。若手助成については、ここ数年20倍を超える競争倍率でしたが、12.7倍まで引き下げることができております。
人文科学
岩波選考委員長
[ 岩波選考委員長 ]
 本年度の人文科学部門の研究助成の総額は、昨年対比で1,000万円増額の9,500万円として頂き、昨年度同様、一般助成の枠内で大型連携研究助成(大型助成)の選考を実施しました。
 応募はここ数年堅調に増加傾向にあり、本年度は、大型19件、一般304件の計323件と昨年対比33件の増加と、コロナ禍前の水準まで戻り、2019年度に続いて過去2番目に多い応募件数となりました。
 選考にあたっては、これまでの研究成果に裏打ちされた堅実且つ実現可能性の高い研究計画に基づき、共時的・通時的観点から研究対象を精査し、人間の行動規範、デジタルアーカイブなどを通じた文化資源の保全調査、グローバルな視点に基づく社会構造分析など、今年度も多元的な視座から取り組む意欲的な研究課題をバランスよく採択候補とすることができました。
 審査にあたっては、選考委員会、面接共に実開催を原則とし、大型は面接を経て1件、一般は36件、昨年対比4件増加の計37件を採択候補としました。女性比率は、個人助成36件のうち15件で41.7%(昨年実績 8件・25%)となりました。女性比率は母数である各分野の女性研究者数と連動しますので慎重な傾向分析を要しますが、性差あるいは年齢を問わず研究者が継続的に息長く研究活動を続けていける環境整備が引き続き課題と考えております。
社会福祉
鈴木選考委員長
[ 鈴木選考委員長 ]
 本年度の社会福祉部門の事業及び研究助成の総額は、昨年対比で1,000万円増額の1億2,000万円としていただき、選考を行いました。
 応募総数は222件と昨年から約4割増と大幅に増加しました。積極的な情報宣伝活動に加えオンラインでの応募説明会を継続的に実施してきたことで、本財団の社会福祉部門の助成が広く関係方面に認知された結果と考えられます。
 申請内容につきましては、応募者の的確な問題意識の下、これまで必ずしも十分な取組がなされてきたとは言えない様々な社会的課題に対する実践的な事業や開拓的な研究など、良質な案件が数多く見られました。
 分野別には、例年同様に「地域・在宅支援」、「高齢者」、「児童・青少年」、「身体障害」関連の案件が多く、昨年との対比では、「親子・家族」、「児童・青少年」、「地域・住宅支援」の分野の関連案件が増えました。
 審査にあたっては、選考委員会・面接ともにすべて実開催とし、予定どおりに審査を行いました。選考委員会では、書類選考により60件の合格案件を選定した上で6日間かけて面接を行い、43件を採択候補としました。
 内訳としては、事業案件が19件、研究案件が24件でした。事業案件・研究案件ともに良質かつ社会的な意義の高い案件が多数ありました。
文化財保存修復
小松選考委員長
[ 小松選考委員長 ]
 本年度の文化財保存修復事業の助成は、選考の結果、昨年と比べて8件の増加の22件を採択候補と致しました。採択金額は4,800万円で、昨年と比べ1,300万円の増額となりますが、応募件数が昨年の24件に対し、2.5倍の63件となったことから、予算の追加手配を頂きました。
 応募件数の大幅な増加は、全国の都道府県の教育委員会、全国の美術館・博物館ルート、民間の文化財サポート団体、文化財保存修復学会、東京藝術大学などあらゆるルートに積極的に広報宣伝活動を行った成果と言えます。
 分野別には、絵画、彫刻、工芸品から歴史資料、考古資料に至るまで幅広い分野での保存・修復案件の申請があり、都道府県別には、昨年対比倍増となる全国30の地域から応募がありました。ここ数年、応募が伸び悩んでおりましたが、積極的に広報宣伝活動をおこなった成果が出つつあるものと思います。
 審査にあたっては、各委員がそれぞれの専門性を活かして全案件を評価し、委員会では高得点のものから、各文化財の保存・修復の意義、必要度等を慎重に審査した結果、応募63件中22件(競争率2.9倍)を採択候補と致しました。応募同様に絵画、彫刻、工芸品、書跡、歴史資料等と幅広く採択することができ、修復するに足る良質の採択先を選定できたものと考えております。

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